ラントマンの雑貨やアンティーク買い付け時の、フランスレポート。
蚤の市便り vol.23 2005.11.13
本当の蚤の市
本当の蚤の市
本当の蚤の市
 屋外で行われる蚤の市に出かけるのに、しっかりと厚着が必要な季節がついにやってきました。これから春の光に会えるまでは、しばらく寒さとの闘いです。でも寒くたって凍ったって蚤の市は一年中行われています。

 今日は私の住んでいる地域で、ほぼ毎朝開かれている蚤の市を写真に撮ってみました。フランスのヴァンヴやクリニャンクールなどの蚤の市は日本でとても有名になりましたが、このページでご紹介する市は言ってみれば蚤の市ための蚤の市。ここではアンティークと名のつくようなシックなものばかり並んでいるわけではありません。昨日だれかが使っていたシーツや自転車、汚れた服や穴あきの鍋、映らなくなったテレビ、ぼろぼろの古着類。。。大きくなると家具やお店のネオンのようなものも。それこそなんでもあります。

 この蚤の市は午前中だけ広場でほぼ毎日開かれていて、11時頃になるとそろそろ店じまいが始まります。物を売る人たちはアンティーク屋さんではありません。お引っ越しや家の解体をするときに、住人がいらなくなったものを一切合切引き取る業者の人たち。みんな昨日引き受けて来たがらくた類を、トラックのままここへ持ってきます。個人の住宅の中身を全部持ってくる人、つぶれた商店にあったものをそっくりそのまま売っている人、それぞれの売人が昨日の仕事で得た品物を地面に置いて商売します。

  というわけで、売人は男性が大多数。そこへ買い付けにやってくるのがアンティーク業者です。彼らが目を光らせて、そのなかに潜むお宝を素早く狙います。いいものを手に入れるためには他の買い付け人よりも早く到着しなければなりません。寒くても凍っていても宝物に出会うために早朝の暗いうちから活動開始です。

 実はこういう業者に混じって、窃盗団が盗品を売り払うためにやってくることがあります。そのため毎朝、広場には警察官と市の職員がチェックしにやってきます。慣れてくると、怪しい売人は人相でわかるようになってきます。時にはものすごい品物を投げ売るようなことをするのも、早く現金化したい彼らの手口なのですぐわかります。こういう人から盗品を買うと罪になるので注意が必要です。

 そしてそこでアンティーク業者が獲得した品物が、いわゆるアンティークの蚤の市と呼ばれるところのスタンドに美しく並ぶ事になるのです。少々アンダーグラウンドな世界のワンシーンでした。(Y)
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