ラントマンの雑貨やアンティーク買い付け時の、フランスレポート。
蚤の市便り vol.06 2004.3.4
サヴォン・ド・マルセイユ
 フランスの石鹸といえば、誰もかならず一番最初にあげるのがサヴォン・ド・マルセイユ、マルセイユ石鹸です。マルセイユとは南仏の大きな港町の名前。そこで生産され全国に送りだされているのがこの石鹸です。古い布やリネンを集めていると、かならずほこりや染みで汚れてしまったものに出会います。使われていたときについてしまったいろいろな染みもありますし、もともときちんとお洗濯されていても、タンスにしまい込んでいる間についてしまった黄ばみやくすみもあります。

 フランスにはアンティークリネンばかりを扱うプロフェッショナルな骨董屋さんもたくさんいますが、彼女達(女性が圧倒的に多い)とつきあっていると、古い布を手入れするときに出てくるのはいつも決まってサヴォン・ド・マルセイユ。固形石鹸をお洗濯に使うことをこの国ではまだとても尊重しています。黄ばんでしまった分厚いアンティークのコットン地をきれいにする方法。
*その1*
 布地を一度水につけて濡らす→布地を平らなところに広げサヴォン・ド・マルセイユを綺麗にしたい部分にしっかり、たっぷりとこすりつける→そのまま「日光」にさらしぱりぱりに乾かす。天日干しが大事なのだそう→完全に乾いたらブラシで布につい
た石鹸をこすり落とす。石鹸が汚れや黄ばみを吸い取ってくれていて布がだいぶ綺麗になっている→水で布をしっかり洗う。

*その2*
 大鍋に水を入れ沸かす。→布地を入れる→ぐつぐつと何時間も煮る→水が濁ったら取り換える→布のほこりやおおきな汚れがとれたところで鍋にサヴォン・ド・マルセイユを入れる→さらに布地を煮る→水が汚れたら変え、同じことを繰り返す→最後に水だけで煮る(すすぎ)

 その1はポルトガルのおばあちゃんが昔からやっている方法だそうで、フランス人は日光に晒すことはあまりしません。その2はフランスのアンティークリネンのプロフェッショナルなら誰に聞いても知っている基本的な方法。良いリネンだと煮ることで質が変わってしまったりはしないそうです。 一見ごく普通の飾り気のない石鹸ですが、フランス人がもっとも信頼しているサヴォン・ド・マルセイユ。お洗濯の仕方を教えてくれた友人たちはみんな「神様からの贈り物」だと言います。私は顔も身体もリネンもみんなこれで洗ってしまいますけれど、神様の贈り物のお陰でいつも気持ち良く過ごしています。
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