ラントマンの雑貨やアンティーク買い付け時の、フランスレポート。
蚤の市便り vol.26 2005.12.4
ホーローのマーク
いただきもの
 ピエールとリズという夫婦の友達がいます。2人とも50代で美術学校の先生をしています。彼らは都心にある職場の学校からちょっと離れた田舎の1軒家に住んでいます。それはそれは広い美しい庭のある素敵なお宅なのですが、そのお庭の話は次回にとっておくことにして、、

 彼らがそこに住み始めて35年、キッチンの蛇口が劣化して壊れたので、工事が必要になりました。いい機会なので、水まわりの模様替えをすることにしたそうです。流し台をとりはずし、新しいものを設置するのと同時に、正面の壁に貼ってあるタイルも全部剥がしてしまうと言うので、、、彼らの家にとんで行きました。

 そのタイルは焼き物をするリズが自宅の裏の窯で35年前に焼いたものです。彼らの一人息子ベンが当時(5才)、生乾きのタイルの土板に絵を描いています。画像をご覧ください、かわいいでしょう?

 もう35年も経っちゃって、ベン(息子)もおじさんになっちゃって!だからもういいのよ、たまには気分を変えなければね。なんたって35年も使ってるんだから〜。。。リズもピエールも笑っています。私が彼らの家に遊びに行く時は そのタイルの貼られたキッチンでコーヒーを入れてもらい、おしゃべりするのが常になっていました。自然な土の色あいと子供の描いたデッサンを見るとなんとも和んだ気持ちになります。

 そのタイル、外した後は処分するなんて言っていたので、1枚残らずもらってきました。日本に送ってラントマンショップの壁のどこかに取り付けられたらと思っています。

 なんてもったいない!処分するなんてと思いましたがふと考えてみると、確かに35年間毎日眺め続けたものを、あるときさっぱりと切り捨てたいと思う瞬間もあるんですね、人間の中には。昔ばかり見つめていないで、まだまだ変わって行きたいというような気持ちでしょうか。私も古い物は大好きですが、新しい環境というのも常に魅力的。ずっと同じ物にしがみつかずからりと気分を変えたくなる、そういうことでいいんだなと思いました。(Y)
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