ラントマンの雑貨やアンティーク買い付け時の、フランスレポート。
蚤の市便り vol.03 2004.1.21
 蚤の市ではありませんが、フランスの街はアンティークだらけです。今日はそのひとつ自動車について。この国の人たちは物をとても大事にします。一度買った車はかなり長い年数を乗り続 ける人が多く、日本のように新しいモデルを求めて次々と乗り換えをする人は少数です。全体的に車を購入する人が少なければ需要と供給の図式からも価格が安くなることがなく、自動的に中古車も日本のものより割高です。高ければますます車は売れないので、街には古い車がたくさん走ることになるのです。

 10年くらいたった車でもここでは古いとは言いません。まだまだ大丈夫!みんなそう言います。お金のない若い人たちがなけなしの貯金をはたいて買える車は必然的にぼろぼろなクラシックカー。プジョーやシトロエンの古いモデルは私のような日本人から見るとかえってお洒落な感じでカッコイイんです。みんなそれなりに工夫してシールを貼ったり、自分たちで塗装したりして楽しんでいます。
 でも、オートルート(高速道路)の路肩でボンネットを開け煙をあげて立ち往生しているのも彼らが多いのは確かです。 フランス人の路上駐車のテクニックは、知る人ぞ知る大胆不敵なものです。うわさだけではなく本当なんですよ。彼らは道路の脇のとてもちいさなすき間に無理やり縦列駐車をしてしまいます。

 車体の長さぎりぎりの信じられない空間に。もちろん前後の車のバンパーに自分の車をごつごつとぶつけながら10センチずつ前後に空間を広げる感じです。ごつごつというより実際にはメリッメリッという感じですが、駐車している車でも押せば少し動くんだということをフランスに来て初めて知りました。

 少しくらいぶつけても彼らはさほど気にもせず、、というわけで小さなへこみや傷のない車は稀です。いくら自分では気をつけていても、道に置いている間に人がぶつけるんですから神経質になっては生きていけません。そのせいか車のお掃除にもあまり念をいれない人が多いのです。
 例えば私の友人のリズは彼女の車を年に数回しか洗いません。一度彼女の車の色が変わったように感じたので「車買いかえた?」と尋ねたら「昨日洗車したのよ、半年ぶりに」と笑っていました。

 メルセデスやポルシェももちろん走っていますが、その横をフガフガと音をたてながら爆走するぼろぼろのフランス車はチャーミングで素敵で楽しくなります。きっと青年時代から乗リ続けているに違いないというようなおじいさんがハンドルを握っていたり、髪の毛に寝癖がついたままのギャルソンが小粋に運転していたり、若い元気そうなくわえタバコのマドモワゼルドライバーも絵になります。唯一、おばあさんが運転している場合、なぜか危険が迫ってくる気がして少し歩道の内側に移動したりして、、きっと偏見ですね。(Y)
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